大雪物語
藤田 宜永
ある冬、N県K町が観測史上初の99センチという豪雪に見舞われる。町民をはじめ観光客、仕事のため車でK町に訪れた人々は、駅や車中など長時間足止めを余儀なくされた。町、県、国レベルの除雪作業も追いつかず、町の深刻な状況から災害救助法が適用され、自衛隊の派遣も要請される。そんな非日常のさなか、紡がれる6つのストーリー。避難所を設ける花屋、車に閉じ込められた人たちの救済支援にあたる自衛隊員、独居老人を救った青年の過去など「冷たいからこそ、人はより一層心を温かくさせる」。第51回吉川英治文学賞受賞作。