ニセ坊ちゃん
東 貴博
コメディアンのパパを持つことは、誇らしくもあり、ときに僕をゆううつにさせた。パパがテレビに出れば出るほど、学校でバカにされるのだ。 どうしたらパパのすごさがみんなに伝わるのだろう?
お小遣いをかき集めて買った三十六色の絵の具も、友達を連れて行った松竹演芸場も、警察署の中で涙を我慢したのも、全部、パパのためだった…。
父の誇りを取り戻すために奮闘する少年の姿をイキイキと描いた、忘れがたい家族の記憶。