怒涛のごとく
白石 一郎
 時まさに、日本では徳川幕府が国内を統一し、中国では満州族の侵入のため明の屋台骨が揺らぎ始め、ポルトガル等がアジアに植民地を建設したころ。
 風雲急を告げる東アジアで鄭一族は、次第に一大勢力となる。一六二四年、落日の平戸の浜で生を享けた日中混血の運命の子、鄭成功の生涯。吉川英治文学賞受賞作。